命を削って作り出した論文が、名前も知らない誰かによって無断で利用されてしまう。筆者にとってこれほど冒涜を感じることはありません。
しかし、現に剽窃はまかり通っており、煮えたぎる思いを抱えたまま泣き寝入りする方も多いものです。ご自身の大切な研究結果を剽窃やコピペから守るために、まずは知識を身につけ自衛しましょう。
○ 剽窃やコピペが起きてしまう理由 完成された文章は人の心を揺り動かします。そうであればあるほど「この素晴らしい文章を自分でも書いてみたい」と感じるのは自然なことでしょう。 しかしその気持ちが昂ぶると、正しい引用をせずに剽窃やコピペに繋がってしまうのです。 また、私たちは無意識のうちに目や耳等から情報を取り入れています。意識して真似したつもりがなくとも、どこかで目にした文章が反映されてしまうこともあり得るのです。ただし無意識であったとしても、影響を受けて作品が脚色されているならそれは剽窃となる可能性があります。 ○ 著作権とコピペ 著作権に関するルールは、著作権法という法律で定められています。 著作権は、オリジナルの作品を生み出す努力や苦労を誰かに奪われないようにと立法されました。一般的に「自分の考えや気持ちを表現したもの」に適用されます。適用される著作物には研究者の論文や学生のレポートから小説や絵画、アニメ、音楽等までさまざまなものがあります。 著作権で守られる権利には以下のようなものがあり、利用前には作者の許可が必要です。 ◇ 著作権で守られる権利について ✔ 複製権 印刷や写真撮影、録音録画等あらゆる手段で複製する権利。著作権の中で最も基本的とされる権利。たとえば、ある論文をコピー機で印刷する行為は複製権違反となります。 ✔ 上映権 映画や写真等を、スクリーンやディスプレイで上映する権利。たとえば論文発表を盗撮し、その発表風景を他のスクリーンで上映すれば上映権違反です。 ✔ 公衆送信権
テレビ、ラジオ、インターネット等に作品を送信、公表する権利。たとえば他人の研究結果を許可なく放映すれば公衆送信権違反です。 ◇ 著作権侵害と罰則 上記のような権利を侵害されたとき、著作権侵害として民事請求を起こせます。 万が一ご自身の論文が剽窃の対象となった場合、しっかりと法律を味方につけて争いましょう。 また著作権侵害は犯罪ですので、場合によっては刑事罰もありえます。 ✔ 民事訴訟で請求できるもの ・侵害行為の差止請求 ・損害賠償の請求 ・不当利得の返還請求 ・名誉回復などの措置の請求 ✔ 刑事罰について 10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、またはその両方が科されます。私的利用であったとしても、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金刑となります。 ◇ どこからがコピペなのか もっとも区別しやすいのは「引用部分」です。正しい引用がされていないならコピペと判断される可能性が高く、上記罰則の適用となりえます。 特に学生のレポートでは引用が不十分のケースが散見されます。また、研究者でも正しい引用方法をご存じない場合もあるため、「正しい引用とは何なのか」をまず理解しておきましょう。 正しい引用とは以下の5点をすべてクリアしているものです。 1.
引用元がしっかり区別されている 2.
引用元の内容を変更していない 3.
出典元を明記する 4.
引用の必要性がある 5.
作品のほとんどが、引用した内容であってはならない ○ 問題を未然に防ぐための剽窃チェックツール 剽窃は筆者の知らぬ間に行われる厚顔無恥極まりない行為です。しかしながら剽窃している本人はどれほど問題だとは考えていないかもしれません。 そこで、正しい引用がなされているか、無断で利用されているかを筆者側が定期的にチェックすることで、大問題となる前に芽を摘んでおきましょう。 最も有効な具体的施策は「剽窃チェックツール」の導入です。ネット上のあらゆる文章との比較を迅速かつ正確に行ってくれます。 特にCopyMonitor(コピーモニター)は、著作物のオリジナリティを守るためのツールとして活用いただくこともでき、下記のような便利な機能を数多く揃えています。 ✔ 判定結果をレポートとしてPDFで出力可能 作品を発表する前に判定しておき、その結果をPDFで残しておけば、万が一剽窃やコピペが見つかった際に、作品の独自性を証明できます。 ✔ チェック範囲の設定 目次や参考文献、引用等の範囲を剽窃チェックから除外可能。これにより、より正確な剽窃チェックが行えます。 ✔ 素早い判定 CopyMonitor(コピーモニター)は他のチェックツールの約半分の時間でチェックが完了します。超大作であってもチェックにかかる時間をそれほど要しません。 ✔ 自身の過去の著作物や機関の独自のデータベースとの比較が可能 CopyMonitor(コピーモニター)上に機関で保有するデータベースや自分自身の過去の著作物を比較文書として登録し、それらと比較して類似度チェックを行うことが可能です。 剽窃やコピペによる被害は、作者側の自衛によって抑えることができます。今回ご紹介した知識とチェックツールで武装し、ご自分の大切な作品を守ってください。 ○ 参考サイト ・公益社団法人著作権情報センター「みんなのための著作権教室」 http://kids.cric.or.jp/intro/01.html ・総務省「e-Gov法令検索」 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048 ・弁護士による茨城県エリア刑事弁護相談